ご挨拶

 当会は1954年(昭和29年)、わが国初の監査役団体として誕生しました。それ以降60年以上にわたり、監査役等(監査役 取締役監査委員 取締役監査等委員 監事)の広く豊かな識見の涵養を図る研鑚と交流の場として、現職の監査役等だけでなく、実務経験豊富な退任者もメンバーとして参加する、ユニークな活動を続けています。

 「コーポレートガバナンス改革元年」とも言われた2015年(平成27年)の会社法改正や、上場企業に適用開始となったコーポレートガバナンス・コードの制定、そして2018年(平成30年)のコーポレートガバナンス・コードの改訂など、わが国のコーポレートガバナンス改革は進展を続けていますが、一方で会計不正や品質データ偽装、情報漏洩、金融商品の不適正販売など企業不祥事は相変わらず発生しています。

 企業が持続的な成長と企業価値の中長期的な向上を目指し日々活動を続けていく中で、近年は企業統治においての監査に対する株主や投資家の認識が高まり、上場会社等の場合は有価証券報告書で監査役等の監査の状況の記載が必要となるなど、監査役等の役割と責任が益々注目されるようになってきています。

 当会は、監査役等への就任初年度からどのように監査活動を進めていけばよいか等の指針をご提供すべく、特に経験の浅い方々が職務の初歩を学び、ベテランの監査実務の視点を習得できるよう「監査基礎講座」「会計基礎講座」を開設、実践的な初任者研修であるとのご好評をいただいています。

 また監査役等の職務遂行の支援のため、「取締役職務執行確認書」「監査役職務確認書」「企業集団内部統制に関する監査役職務確認書」「監査等委員(会)職務確認書」と4つの確認書を公表し、監査実務のチェックシートとして多くの皆様にご活用いただいています。

 さらに、当会所属の経験豊富なメンバーのノウハウと実務経験に基づき、著述・編集された「最新 監査役の実務マニュアル」が新日本法規法規出版株式会社から出版されています。本マニュアルの記載内容は毎年見直しが行われ、差し替え追補版も発行されています。

 当会所属の会員・会友による勉強会も活発で、時宜に合ったテーマのついて議論を深堀りする相互啓発の「監査実務研究会」、特定テーマを小グループで検討し、その成果を参加者で共有する「スタディグループ分科会」、当会の専門委員会での研究成果の掘下げや外部講師との活発な議論を目指す「監査技術ゼミ」に加え、非上場オーナー企業の監査役のあり方や海外子会社監査の事例研究など、それぞれの環境や問題意識を踏まえた自主勉強会・情報交換会なども新たな参加者を迎えながら、頻繁に行われています。

 こうした所属員による相互啓発だけでなく、監査に関する専門家である大学教授、弁護士、公認会計士等を講師としてお招きし、新たな視点で監査について学ぶ「監査セミナー」も毎月開催しています。

 一方、豊かな人間性を高め、より広い視野を得るための機会として、幅広い分野で活躍されている学者、評論家、芸術家等を講師としてお招きする「講演会」や、特徴ある企業の見学を中心に新たな視点を切り拓く「研修見学会」も毎月開催しています。

 さらに、写真、絵画、コーラス、俳句、将棋、カラオケ、エッセイ、ウォーキング、楽器演奏、江戸文化等の様々な分野で、生涯学習部会や同好会による文芸サークル活動があり、多くの参加者の多彩な趣味、知的好奇心を満たす場となっています。

 当会は、こうしたバラエティに富んだ多くの活動を通じて、今後とも監査役等のエネルギー補給と交流を図る“母港”を目指して、皆様にご満足いただける運営に努めて参りますので、一層のご支援・ご協力をお願いいたします。

 当会にご興味をお持ちいただいた皆様には、この機会にご入会をご検討いただきますようよろしくお願い申し上げます。

一般社団法人 監査懇話会

会長 太田 剛